第1章 プロローグ
これは小さい頃の話だ。
昔の私はとても泣き虫で言ってしまうといじめられっ子だった、気がする。
私の家はホウエン地方では有名な高級ホテルを経営していて、他の地方にもいくつか進出している言わばお金持ちというものだ。それ故にやっかみというものも多かったが、それ以上に多かったのは容姿に関しての嫌味だった。
母がとてもきれいな顔をしていてそんな母が惚れ込み猛アタックの末結婚したのがとても平凡な容姿をしている父だった。
入り婿の父はその容姿もあいまって周りから馬鹿にされることも多かったらしいが、それを耐えられたのも母のことを愛していたから、らしい。お熱いことだ。
しかしそれは結局のところ自分の意思で母と結婚したからであって自身の意思関係なくそんな状況に陥ったら耐えきれなかったのではないか。そんな事を思うのは私がそうだったから。
私には兄と弟がいる。二人は母に似ていてとてもきれいな顔を小さい頃からしていた。そして私はというと、父に似た容姿だった。
よく聞く話だ。息子は母親に似て娘は父親に似る。それをこんなにもきれいに当てはめなくてもいいじゃないかなんて愚痴りたくなるのも仕方のないこと。
六歳上の兄は私の記憶のある限りずっとモテている。私は記憶力が良い方で三歳くらいの頃から記憶があるが、そのときからモテている。
そんな兄はいわゆるシスコンというもので、昔から私のことをかわいがってくれていた。きれいな兄にかわいがられている平凡な妹。それはどうやら兄を好きな女の子たちの癪に障ったようで、私はよく兄の周りのいる女の子たちから嫌味を言われていた。
今思うと五、六歳も下の子どもに大人げない……いや、まだその子らも子どもだけれど、それでも子どもの頃で言えばそれなりに大きな差があるにも関わらず大人げないことだ。
しかしその当時の私はそんな達観したことを思えるはずもなくて。
とても泣いた。それはもうギャン泣きだった。
子どもというものは容赦がなく、正直平凡であるがブスではないと思っているのだけれどその当時は何度もブスと罵られた。
「妹だからってブスのくせに調子乗るな」