第79章 晩餐
「はい⋯⋯。師範⋯⋯悲鳴嶼さんと、お屋敷にご挨拶に伺った時、謝りました!」
「そりゃ、竈門君も怒るわ⋯⋯。彼、確か同じ年頃の弟妹を殺されているんだもの」
「礼儀がなっていないよね、君たちの同期はさ」
時透は、すこぶる不機嫌に溢した。
「お館様の話を遮る、お館様のご息女を殴る、胡蝶さんちの硝子をぶち破る、任務に行きたくないって騒ぐ。本当にどうしようもないね」
「⋯⋯俺の同期、そんな奴らなんですか」
玄弥は机に突っ伏してしまった。
「でも、しのぶちゃんの継子はちゃんとしてるわよね?」
甘露寺がすかさず口を挟んだ。
「あれを、ちゃんとしていると言えるのか、疑問です。⋯⋯すみません」
桜里は、時透顔負けの毒舌を披露し、すぐさま詫びた。内心、宇那手は理解を示していた。
呼吸が使えない隊士。
自分で判断が出来ない隊士。
壱ノ型しか使えない隊士。
全てが我流の隊士。
鬼を連れた隊士。
「本当に滅茶苦茶じゃない⋯⋯」
「柱の皆様も、相当滅茶苦茶だと思います」
桜里は、嘆息した。
「思うに、飛び抜けた才のある方は、滅茶苦茶なんです。師範も含めて。その証拠に、比較的常識的な私や村田さんたちは、凡才です」
「自分でそう言う様になった辺り、貴女もこっちの領域に片足を突っ込んでます」
宇那手はピシャリと言い放ち、話題を変えようと考えた。段々頭が痛くなって来た。
「ええっと、無一郎君って、冨岡さんの事をどう思っているの?」
「⋯⋯置き物みたい」
時透は、ぼーっとした表情で答えた。甘露寺も、桜里も吹き出して下を向いてしまった。
「お⋯⋯置き物?!」
宇那手は、予想外の回答に顔を引き攣らせた。
「なんで?!」
「全然喋らないし、何を考えいるのか分からない。何時も静か。気付いたら近くにいる。だから、置き物」
酷い言われ様だ。
時透は、少し考え、首を傾けた。
「さっき聞こえたけれど、姉さんは、冨岡さんと結婚したの? 置き物と結婚したの?」