第74章 那田蜘蛛山の記憶※

「随分と淫らになった物だ。其処が堪らなく愛おしいが」

　とうとう我慢の限界に達して、冨岡は宇那手を再度押し倒した。いきなり蜜壺に指を二本挿し入れたが、難無く呑み込まれてしまった。

「何時からこんな状態だった？」

「っあ！　いきなりっ──」

「答えろ。何時からだ？　外を歩いている時から、こんな状態だったのか？　見ろ」

　冨岡は滑った指を宇那手の目と鼻の先に突き付けた。

「慣らす必要も無さそうだ。男にとって、こんなに都合の良い女はいない。何時からだ？　継子と話していた時からか？」

「違います！　あ⋯⋯貴方が口付けをした時からっ」

「口付けだけで、このざまか」

　冨岡は敢えてキツい言葉を掛けると、自身も一気に服を脱いでしまった。

「挿れるぞ」

「待っ⋯⋯やあぁぁぁ！！」

　突然奥まで貫かれた衝撃で、宇那手は容易に達してしまった。

「や⋯⋯義勇さ⋯⋯」

「もう達したのか？　堪え性が無いな」

「だって⋯⋯あ⋯⋯いきなり⋯⋯っ⋯⋯義勇さん！」

　宇那手は必死に両手を伸ばした。

「手⋯⋯手を握ってください！　昔の様に⋯⋯。手を⋯⋯っ」

「握って引かずとも、お前はもう一人で判断し、歩けるんだがな」

　冨岡は珍しく口元を緩めた。

「まあ、良い。幾らでも握ってやる」

　両手を組んで、緩やかに腰を動かすと、宇那手は甘美な嬌声を上げた。

「火憐。俺は最初にお前を抱いた時、罪悪感に駆られた。どうしても、初めて会った時の、子供の姿を忘れられなかった。背徳感で頭がおかしくなりそうになったが、ちゃんと女の顔になったな」

「貴方が⋯⋯そう⋯⋯したのっ！　私⋯⋯もっと貞淑で⋯⋯貴方に相応しい人間に──」

「俺に相応しいのは、美しい人形じゃない。どうしようもなく、淫らで、俺の欲求に応えられる女だ」

　そう言って、一番深い所を何度も突き上げてやると、宇那手は生理的な涙を溢して喘いだ。

「あっ！　やだぁ！！　そこ⋯⋯そこは⋯⋯」

「此処で感じる様に躾けた覚えは無いぞ。腹立たしいな」

　冨岡は、鬼への憎悪を募らせながら、一回出した。宇那手の方も、一瞬意識を飛ばしたらしく、身体が大きく震えた。