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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第51章 約束〜明智光秀〜





安土城への道中、光秀さんは私を一切見ず声も掛けてくれなかった。
この重い空気に耐えきれず、私から口を開いた。

「どうして…此処が?」
「蘭丸が俺に伝えに来た。蘭丸を守りたければ、信長様の前で余計なことは一切口にするな。わかったな」
「……はい」


最後まで迷惑をかけてしまった蘭丸くんを思い、ますます頭が下を向く。

ごめんね、蘭丸くん…


私は城に着いてもそんな暗い気持ちのまま広間に行き、信長様の前に座った。


「久しいな、葉月。家出娘が戻ったか」
「…すみませんでした」
「お前は俺を驚かすのが上手いな。一体今までどうしていた?」
「顕如さんの所で…お世話になっていました」

それを聞き信長様は一瞬黙ると、やや驚いた後にくつくつと笑った。

「顕如?!あの坊主と会っていたとはな」
「…偶然会って、助けて貰ったそうです」

光秀さんがそう言い、頭を下げた。

「そうなのか?」
「はい…そうです」
「…それで、これからどうする?光秀の嫁になる覚悟は出来たのか?」
「あの…私、信長様のお嫁さんには……っ!待って下さい。今、光秀の嫁って言いました?」
「そうだ。お前と光秀のことは聞いている」
「……っ!?な、な…」
「なんだ、光秀。言ってなかったのか」
「ええ。聞かれませんでしたので」


私が凄い顔で光秀さんを見ても、まるで何でもないように信長様から視線を外さず涼しい顔で座っていた。
信長様はそんな私たちを見て、また声を出して笑った。

「お前も人が悪いな、光秀。見てみろ。葉月の顔色が青から赤に変わっているぞ」
「…当然です。信長様に何も言わずに消えたのですから」
「ひ、酷いです。私、生きた心地しませんでした」
「そうか?顕如とは随分と愉しそうにしていたではないか。離れ難くて泣いていただろう」
「……っ!ち、違います。顕如さんとは敵だからもう逢えないと想って…」
「ほう?そうは見えなかったがな」


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