第19章 夢で逢えたら〜石田三成〜
「書斎の整理?!」
秀吉さんに呼ばれた私は、声を上げた。
「政宗が、三成とお前にやらせろって。お前、何かしたのか?」
「…何も」
「政宗も後で手伝いに来ると言っていたから、先に二人でやっていて欲しいそうだ」
…絶対、嘘だ。
政宗は、私と三成くんを二人きりにさせるつもりなんだ。
「どうした?」
私が眉間に皺を寄せているのに気づき、秀吉さんが言った。
「俺も手伝いたいんだが、これから公務があってな。悪いがお願い出来るか?」
「はい、やっておきます」
「悪いな」
秀吉さんは微笑むと、私の頭を撫でた。
「三成は先に書斎に行ってるから。多分、あいつ一人じゃ凄いことになってそうだから、頼む」
あ、もう三成くんいるんだ。
「…はい」
「じゃあ、頼むな」
秀吉さんは言いながら去って行った。
ふぅ…。
私は深呼吸して書斎に向かう。
三成くんに今までどんなテンションで話しかけていたか思い出せない。
普通に、普通に。
「三成くん、私も手伝いに来たよ」
「あ、葉月様、申し訳ありません。お手数おかけして」
「全然、全然。一緒に頑張ろう」
私は努めて明るく言った。
やっぱり、まともに三成くんの顔は見れない。
ドキドキして…。
私はさっと三成くんから離れると、
「私、こっち側やるね」
明らかに三成くんから一番離れた場所に行き、本の片付けを始めた。
「……はい」
三成くんの返事の仕方がちょっと気になったけれど、私はもう振り向けない。
こんなに緊張してたら、三成くんが変に思うよね。
でも、前はどう接していたか思い出せない。
私は片付けに集中するしかなかった。
「んっ!と、届かない…」
一番上の棚に本がしまえず、悪戦苦闘しているとすっと後ろから手が伸び、私の手を支えて本を入れてくれた。
「三成くん、ありがとう」
「いえ…」
三成くんの表情が曇っているのに気づき、不安を覚えた。
私、やっぱり感じ悪かったかな。
「三成くん」
私は三成くんの腕を掴むと、三成くんは驚いてこちらを向いた。
「…どうかしましたか?」
久しぶりの三成くんのドアップに私の心臓が早くなる。
「あ、あの…」
顔が赤くなるのがわかり、下を向いてしまう。