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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第1章 朝が来るまで待って 〜明智光秀〜



レアキャラな人だから、いつもお城に彼はいない。

公務で忙しいのか視察で忙しいのか私は何もしらないけれど、光秀さんに会えるのは稀なことだ。
だから、時々いると胸がときめいてしまう。
嬉しくて嬉しくて堪らない。

でも、それを表には決して出さないように努めている。
自分の気持ちを誰にも悟られたくない。
何よりも恥ずかしいし、この城で生きづらいからだ。

私は、誰に対しても明るく努めている。
決して誰にも差をつけず、朗らかにしているつもりだ。
そうしないと光秀さんにも自然に話しかけられない。
したたかにも私はそう意識して動いていたつもりだった。

なのに…。


今日は久しぶりに光秀さんが宴にいる。
元気そうだ…。でも、少し痩せたかな?
いつもより顎のラインと首筋がはっきり見える。
でも、どんな姿の光秀さんも素敵だ。

政宗や三成くんとの会話を盗み見聞をするだけで、結局話しかけられずにいる。
光秀さんの姿を確認するだけで、そこから動けない。
会えない時はあんなに心の中で話しかけていたのに、いざとなるとこうなのだ。
心の中で苦笑いをしていると…

「あんたって馬鹿だね」
横にいた家康が、呆れた顔で私に言う。

「…ひどい。そんなことないもん」
「じゃあ話しかけてくれば?」
「え?」

「趣味悪いね、あんたって」

もしかして、家康に気づかれてる?!
私は慌てた。

「え!違うよ!
久しぶりに会えたから元気そうで良かったなーって見てただけで…」
「ふーん、そう」
そう呟くと、家康は興味なさそうに横を向く。

すごいな、家康は。
歴史に残る戦国武将は私なんかの気持ちなんてお見通しなのか。
じゃあ光秀さんにも気づかれているのかな…考えただけで背筋が凍った。
ますます話しかけられないじゃないか。


その日は、ただ見つめるだけで宴は終わった。



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