第29章 過保護だけど優しい
貴方side
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次の日の朝
貴「…モグモグ…」
母「準備してくるから待ってなさいね」
貴「うんー」
ご飯を食べながら母の話しを聞いていた
足を痛めてるので、治るまで学校に送ってもらう事に
朝早く行く母親だから忙しいと思って遠慮したんだけど、すごい剣幕な表情で拒否された
……怪我した時、めっちゃ怒ってたしな
ピンポーン
するとチャイムが鳴った為、ゆっくり歩きながらドアを開ける
ガチャ
仁科「…あ、お、おはようございます」
貴「……え、仁科?」
訪ねてきたのはユニフォーム姿の仁科
貴「何で…」
仁科「あ、いや……先輩ん家、通り道だし。部活行くって行ってたから、俺がその、送って行こうと思って」
貴「…え」
しどろもどろに話す仁科、後ろには自転車があるようで
貴「……わざわざ、迎えに来たの?」
仁科「…あ、足が良くなるまで、毎日送るっす。先輩が、嫌じゃなかったらすけど…//」
貴「…」
顔を赤くしながら話す後輩、どういう心境か分からないがだいぶ変わったな
母「あら、どなた?」
仁科「!」
貴「お母さん、部活の後輩の仁科。仁科が毎日送ってくれるらしいから会社行って大丈夫だよ」
母「………そう、怜花を宜しくね。仁科君」
仁科「あ、はい!」
母は仁科を数分見た後そう伝える
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貴「…大丈夫?重くない?」
仁科「いや軽いっすよ」
家を出て私は仁科の後ろに座りながら自転車に乗る、いわゆる2人乗りになる
貴「ありがとね仁科ー、朝忙しいからお母さんに頼むのも迷ってたんだ」
仁科「良いっす……俺が一緒に居たいだけなんで」ボソッ
貴「?何?」
仁科「!!何でもないっす!!帰りも送るっすから」
貴「………変わったね、仁科」
過保護なのか心配してくれる後輩に、戸惑いもあり感謝もしていた
でも……不思議とこの空間が落ち着くな
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学校.部室
仁科「俺、着替え終わってるんで軽くグラウンド走って来るっす」
貴「うん」
部室に着いた私達、仁科は走りにグラウンドに向かう
私は部室に入る