第2章 縁は異なもの味なもの
そんな懐かしいことを思い出しながら、伏黒は自室に向かって歩いていた。
そして、そろそろ虎杖が来る頃ではないだろうかということで、真奈美もまた、一緒に彼の部屋に向かって歩いていた。
伏黒の部屋の前まで来たところで、隣の部屋から五条と虎杖が出てくる。
「え、隣かよ」
「おっ!伏黒~!今度こそ元気そうだなぁ!と、その隣は.....え、もしかしてまさかお前の.....」
「違うよ」
虎杖に被せるように、五条が口を挟んでくる。
「彼女は久我 真奈美。この学校の養護教諭」
五条はいつの間にか虎杖の元を離れ、彼女の隣に立ってその肩を抱いている。
「おい、虎杖」
「ん?」
「悪いことは言わねぇから、五条先生の前であんまり久我先生と楽しそうにすんじゃねーぞ。あとボディタッチとかもNGだ」
「はぁ?なんだよそれ」
虎杖に向かってそう耳打ちをすると、彼女が虎杖の前に手を差し出す。
「初めまして虎杖くん。養護教諭の久我 真奈美です。大抵医務室にいるから、気軽に遊びに来てね♪」
「はっ、はじめまして!」
そう言って虎杖は先ほどの伏黒の忠告など忘れ、差し出された彼女の白くて細い手に自分の手を添える。
彼女が醸し出す和やかな雰囲気に虎杖も包み込まれ、その空間にポンポン花が咲いている。
そしてそれを一刀両断したのは言うまでもなく、五条であった。
「はいはい、挨拶はもういいデショ。それより明日はお出かけだよ!3人目の1年生を迎えに行きます。先生も来る?」
「私は仕事があるので行きません」
「だよね~お土産楽しみにしてて」
こんなにもわかりやすいのにそれに全く気づかないウチの生徒は鈍感すぎるだろう。
まだドキドキしているのが一目瞭然な虎杖と、生徒相手にも全く容赦ない五条、そして自分を巡ったそんな駆け引きが行われているとは夢にも思っていない久我を順番に見ながら、伏黒は大きなため息をついた。
騒がしい学校生活になりそうだ。