第8章 仮面の下で嘲笑う
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「……無いよ」
しばらく沈黙の後に彼は怪しい笑顔で答えた。
本当に赤い目をしている。
『ふーん?それって名付けて欲しいってこと?』
そいつは何も言わない。
『沈黙するってことは肯定しているってことにするけど?』
「………」
奴は笑っていた。でも、目は俺をしっかり見ていた。
『………はァァァ…めんどくせ…』
しばらく見つめあっていたが先にヴェネットが折れた。
『いいだろう、名付けてやるよ。』
『お前は今日からべストールだ。』
本当に名付けるなんて思っていなかったそいつは驚いた目を一瞬した後に、それは面白いという顔になっていた。
「べストール……いい名前ですね。」
そしてべストールは嬉しそうな顔をした後ににやけていた。
(これで〝仮契約〟は完了した。)
歩き出したヴェネットについていくべストール。