第5章 思い出した過去
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時にはもう長くないお年寄りさんの寿命を戻して欲しいと。
彼女は優しすぎるが故に、了承してしまった。
彼女は確かに寿命を戻した。
だが__死を遠回りさせただけであって、必ずしもずっと生きれるわけではなかった。
彼女は死からの運命は変えることはできない。ただ伸ばせるだけだった、
長生きさせて欲しいという願いがあればもちろん__逆もあった。
彼女はいつしか何のためにこんなことをしているか分からなかった。
人々の憎しみや恨みばかり聞いていた彼女はどうでも良くなったのだ。
彼女___ヴィリルにとってヴェネットはかけがえのないものだった。
唯一、心から信頼出来る弟で、彼女は絶対に守ることを決心していた。
だから彼に汚い仕事はさせたくないと、裏仕事は彼女が受け待っていた。
学園の教師でありながら、殺し屋でもあった。
ヴィリルの心はいつの間にか汚いものに蝕まれていた。
そんな心を溶かそうとしてくれていたのは…監督生のユウだった。