第10章 仮面は外せない
べ「僕はその何百年も昔の想いが溢れかえって、うれしかった。」
べ「すぐに会いに行ったよ…でも弟は僕のことを覚えてないし、姉という存在が出来てて喜んでいた姿を見ると無いはずの心が傷んだ。」
『……………』
べ「神様は残酷だよ。会いたくても会っちゃいけないと思いつつも、こんなにも僕の弟にそっくりだなんて…しかも名前までいっしょだと勘違いしちゃうじゃないか…」
確かに俺の姉が居なくなって生まれ変わりが出来たと知ったら会いたくて仕方ない…でも、会っても相手は自分のことを覚えてない。何よりも幸せそうな笑顔で生きているのが複雑な気持ちになってしまう気がする。
それでも会いたい気持ちは変わらないだろう。なんたって唯一無二の血の繋がった人なんだから…
『前世を思い出して、かつての兄に会えたことは嬉しい。でも今の僕には姉がいる。僕は今を大事にしたい。姉さんは失いたくないもう二度と。』
そう言ったヴェネットは何か覚悟を決めた顔をしていた。