第10章 仮面は外せない
べ「あんまり、彼を困らせないであげてください」
べストールは彼女に笑顔で言った。
「……まぁ、見知らぬ人に言われても何言ってるんだこいつってなるよね…でも、私は自分でなんとかしたい。この問題は私たちの問題だし、貴方たちを悪に染め上げることは出来ない。だから、帰ってもらうよ。」
2人は彼女のユニーク魔法で自分たちの寮に着いた。
あー、瞬間移動ってやつか…
ヴェネットは1度自分の部屋に着くと、考えに耽った。
僕は姉さんの為にも……しなくちゃいけない……でも本当にそれで…姉さんは喜んでくれるの??あの時は計画書を見られて…でも姉さんは僕を否定したりしなかった。むしろ喜んでくれていた。あれは…本当に喜んでいたの??僕のしていることは正しいの………?ねぇ、誰か教えてよ…
ポタッ…ポタッ…
黒い雫が心に溜まっていく_____
べ(あぁ……本当に……ヴェネットは美しい…自分のしている事が分からなくなり悩む姿は…僕をこんなにも満たしてくれる…)
べ「これだから、弟の姿を見るのを辞められない。」
べストールは、自分が分からなくなってきているヴェネットを見ながらそう言った。
ヴェネットはそんなことを言っているべストールに気づかない。