第2章 壊れる音【土方裏夢】
「全部どうでもよくなるくらい、たっぷり愛してやる」
再び唇が重なり、は愛撫を受け入れた。最早、抵抗することに意味はない。
だったら、一秒でも早くこの時間が終わってしまうようにするだけだ。
「んっ、ふあっ」
音を立てて繰り返される口づけに、は目を閉じてひたすらに耐える。
記憶には全くないが、自分から土方に想いを告げたらしい。
それなのに、心は土方を拒絶している。それがどうしても理解できなかった。
(嫌なのに、恐いのに、気持ちいい。だったらいっそ、身を委ねてしまおう。全部忘れるのは、後でいいや)
目を開けると、土方の整った顔が間近にある。非現実的な状況に、頭の奥がぼんやりと重くなり快感が支配していった。
「んっ、…あ、トシさ……」
がほとんど無意識に名前を呼ぶと、土方が堪らず息を飲む。本当に愛し合う夫婦が行為に及んでいるのだと錯覚して、収まっていた欲望がむくむくと湧き上がった。
「、愛してる。もっと気持ち良くなって、ちゃんと孕めよ」
「ふっ、あ、ああんっ」
先程の行為で潤み切った蜜口に勃ち上がった物を挿入すると、驚くほど簡単に奥まで到達する。それなのに、中は十分に締まっていて、射精を促すように蠢いた。
「っは、待て、締めすぎだっ」
「あっ、だって、そこ擦らないでっ」
「擦らないでって…っく、入れただけだぞ」
「や、あ、だめっ、あっ――」
ぴくりと震えたに、土方は収めたまま様子を窺う。真っ赤な顔をして胸を上下させるの呼吸が落ち着いたのを見て、結合部に指を這わせた。
「やあっ、なにっ?」
「ココを弄った方が、もっとイけるだろ」
「へ、あ、ひああぁぁっ!」
奥を突きながら花芽を弄られて、は殆ど悲鳴を上げながら身もだえする。視界が明滅して、唐突にやって来た快感が全身を痺れさせた。
「あっ、あっ、ひっ…!」
痙攣するの中を尚も揺さぶると、本能的に土方のものを締め付け、ビクンと一層大きく体を跳ね上げる。
「いっ、ああぁぁぁっっ!!」
部屋中に響く嬌声に眩暈を覚えた土方は、の腰を強く掴んで眉間に深い皺を刻んだ。
(クソっ、もう限界か――)