第1章 日輪を繋ぐもの
そこへ、きよ、すみ、なほとアオイの4人が病室に運ぶ朝餉の膳を持って通りかかった。
「しのぶさま!千聡さん!お疲れさまです!」
「千聡さん、お顔の色が優れないようですが、大丈夫ですか?」
「ん、大丈夫だよ。ありがとうね」
「お礼など結構です。あなたが倒れてしまってはしのぶさまのご負担が増えてしまうと思っただけなので。」
「しのぶさま!こちらの療法食は8号室の方で間違い無いでしょうか!」
「ええ、合っていますよ。
あ、2号室の方はしばらく絶食でお願いします。術後間もないので、経過を見ながら決めます」
「わかりました!」
「じゃあ私、8号室の点滴交換一緒に行っちゃいますね」
と戸口に歩み寄った時
「う…」
空腹の体にも関わらず、少女らの手に載った食事の匂いが強烈な嫌悪感とともに鼻をつき、処置室奥の流しに駆け寄る
「千聡さん?」
「ごめ、なさい……っ」
込み上げる吐き気に耐えかねるも、何も入れていない胃からは熱くて酸っぱいものしか上がってこない。
腹痛と共にすぅっと頭の芯が冷える感覚に襲われ、これはまずいと思う間もなく座り込んだ。
「千聡さん!?!?」
「千聡さん!!」
そのまま暗くなる視界に、抗うことができなかった。