第6章 任務完了!?
「杏寿郎さん!?傷が開いてしまいます!」
「………君という人は…本当に取って食うところだ」
「あ、や、えとっ、それはその、ごめんなさい…」
「謝らないでくれ。傷つくぞ。」
「ごめんなさいっ」
「ふぅ…」
少しからかいすぎたか…まぁ、ほとんど本音だ。
月明かりの中、顔を真っ赤にして目を白黒させる奥さんが憎らしいやら可愛いやら。
「あ、あの、お布団に入らないと風邪をひいてしまうかも、しれませんよ…?」
布団の端を持ち上げてこちらをうかがう千聡。
…憎らしい一択に訂正だ。攻撃力高すぎだろう。
「杏寿郎さん?」
一度大きく呼吸をして、さも仕方ないふうを装って布団に戻る
「君からもう一度口づけをしてくれたら許す」
「!?!?」
「…くれないのか?」
「…目、開けちゃだめですよ」
「ああ、わかった。」
躊躇いがちな手が頬に触れ、少しの間をおいて愛しい香りが一層強く俺の感覚を縛った。
「っ…」
触れた一点から生ぬるい痺れが全身に広がる。千聡も、同じ感覚だといいが。
「千聡」
ゆっくりと離れかけた温みを呼び止めて、引き寄せた
再び触れた唇の隙間から、声にならない上擦った呼吸が漏れる
もっと聞きたい。
やがて、衿を握っていた手が胸を数度叩いた。
「は、は、」
「すまない、苦しかったか」
「は、…あ、の…」
涙で潤み、戸惑いと少しの怯えが混ざった黒い瞳がこちらを見上げた