第1章 日輪を繋ぐもの
【杏寿郎side】
列車の中で鴉から受け取った手紙には、
千聡らしい闊達な字で一言
『煉獄杏寿郎様
父である貴方のお帰りを、この子と二人お待ちしております。
煉獄千聡』
「よ、もや…」
呼吸を極めた身体に、さらに温かな力が溢れ巡るのを感じた。
千聡の腹に、子が…顔を見られるのはいつだろう。男だろうか女だろうか?男なら立派な剣士に育ててやりたい。女なら千聡のような凛とした女性になってほしいな。どんな道を選んでも、のびのびと育ってほしいものだ。どちらに似るだろうか、千聡に似たらきっととびきりの美人だろう。絶対に嫁にはやりたくないな。いやそれよりも。
早く千聡に会いたい。
早くその目を見て感謝を伝えたい。
「そうとなれば、一刻も早く帰らねばならぬな!!!!!!」
独り言とは思えぬ独り言を発したかと思えば、いくつ目か数えるのもやめた牛鍋弁当が瞬く間に空になっていく。
「ーーーーん、」
「うまい!うまい!!うまい!!!」
誰かが声をかけている気もするがあいにく俺は今それどころではない!
帰りには精のつくものと体を温める何かを買おう。体を冷やすとよくないと聞くからな!
「ーーの、ーーくさん」
なんだ先ほどから!俺は忙しいと言っている!
「うまい!!!うまい!!!」
赤子の服というのはどこで買えるのだろうか、そうだ、屋敷の近くにいい反物屋があったはず…そこに聞いてみよう
「あの!煉獄さん!!!」
「うまい(なんだ)!!!!!!!」