第3章 拡散ルーマー!【レオナ】
___2人は数日間、会話を交わさない日々が続いた。
「レオナさん、ほんとに最近元気ないッスね~…」
「煩い」
何となく2人の不仲を悟ったラギーは、何とかして2人の仲を取り持ってあげられないか悩んでいた。
…レオナがこうしている間にも、マレウス・ドラコニアは彼女と親密に距離を詰めているに違いない。
そんなことは、レオナ本人が1番わかっているのだけれど__。
改めて謝ろうと試みても、いざ見かけると去り際のの表情を思い出してしまって踏み出せない。
…自分に、彼女に話しかける資格はあるのだろうか。
良くないことばかりが頭に過って、余計に彼を苛立たせた。
「そんなレオナさんに朗報っスよ」
口元に人差し指を当て、ニヤニヤと笑うハイエナ。
…どうやら悩める主のために何か考えがあるらしい。
「ちゃん達、オンボロ寮をオクタヴィネルの奴らに人質に取られちゃったらしくて」
「…オクタヴィネル…?」
「それで、うちの寮に泊まりたいって直談判してきたんスよ!」
「…それの何が朗報なんだ」
「えぇっ、夜の貴重な時間をちゃんと過ごせるんスよ!?」
確かに、夜はいつもはマレウス・ドラコニアと過ごしていると噂されている時間帯。
チャンスと言われればチャンスなのかもしれない。
「…はぁ…先が思いやられるな」
「何があってこんなことになったか知らないっスけど、ちゃんにはレオナさんと同じ部屋に泊まって貰いますからね」
「てめぇラギー…!本気で言ってんのか!」
「そんなに怒らないでくださいっス!部屋ないんだから仕方ないんだって!」
ニシシシシ、と笑いながら早足に監督生たちの元へ行くラギー。
素直に喜んで良いのか悪いのか…レオナは喉をグルルル…と鳴らした。