第1章 あなたと【スティーブン】
私のライブラでの主な仕事は、
データ分析だった。
ライブラに入ったのは、
リーダーのクラウスが
遠縁の親戚にあたる私に
仕事を手伝って欲しいとのことだった。
最初は、こんなに大きな組織とは思わず、
頼まれてデータを入手、分析した。
データのハッキングは得意だった。
最初は何のデータがあまりわからなかったが、
ライブラが利用をすれば
世間を揺らがすほどのデータだとは知らず、
動揺した。
クラウスは
「騙すようなことをして、すまなかった。」と謝った。
しかし、一度踏み入れた脚から抜け出すことは、
残念ながらできなかった。
それから徐々にメンバーが増えていき、
最近加入したツェッドくんも含め、
随分と賑やかになった。
その日は、頼まれていたデータ分析に
時間がかかっており、頭を悩ませていた。
かなり追い詰められていたわけではないが、
時間も限られているため、
遅くまでデスクで作業をした。
「大丈夫か?」
スティーブンが声をかけてきた。
油断していたクレアはスティーブンに
声をかけられただけでドキッとした。
「す、すみません…ちょっと悩んでしまいまして。」
クレアは自分でドキッとしてしまったことに
恥ずかしくなった。
「ふーん、どれどれ。」
とスティーブンはクレアの作業パソコンを
横から覗き込んだ。
顔がすぐ隣にあって、クレアは更に緊張した。
「僕も手伝うよ。いいだろう?」
そうしてスティーブンにも手伝ってもらうことになった。
かなり遅い時間で、
部屋にいたクラウスとギルベルトに
スティーブンは
「今日は僕とクレアが残るから大丈夫」
と言って二人も帰っていった。
「(なんだこれー!スティーブンさんと二人きり…!)」
クレアは変にドキドキしてしまったが、
作業中に邪なことを考えたことに後悔し、
引き続きデータ分析に集中した。
しばらくして、スティーブンが
「クレア、休憩にしないか?飲み物をを淹れるよ」
と声をかけ、クレアもそれに従い、
ソファーに腰をかけた。
スティーブンは二人のカップを持って片方を
クレアに渡し、クレアの隣に座った。
「(正面に座らないのか、この色男…!!」)」
と、クレアはまた邪なことを考えた。