第10章 笑
「重てぇよ……」
ニノは笑って両腕で顔を覆った。
つい半時間ほど前に、体を繋げた俺らはシャワーも浴びてないからまだ裸だ。
寒くないようにちょっと分厚いブランケットをかぶっていたし。くっついていたから暖かいけど。
気を失うように意識をとばしてしまったニノを気遣う。
久しぶりだから、ちょっと無理させたかな。
「大丈夫……?」
額にかかる前髪をよけてやり、顔をのぞきこむと、ニノは、腕をおろし、俺をみあげた。
そして、ニノは、ふわりと笑ってみせて。
「無理」
と、いった。
「…………」
がくっと首が落ちる。
言うこととやることが一致してねぇっつの。
そんなニノは、くすくす笑って俺を引き寄せた。
「もいっかいしてくれたら……治るかも」
「へ……えっ?」
いいながら下から薄い唇をつきだしてくるから、俺は戸惑いながらも、そのお誘いに嬉々としてのった。
チュク……と音をたてて舌を絡めてくうちに、二人の間の温度が再び上昇してゆく。
ニノが足をゆっくり開いた。
天の邪鬼な恋人にしては珍しく積極的だな……と、思っていたら、ニノはすまして言った。
「テレビより本物の方がいいでしょうよ」
「…………」
俺は、苦笑うしかなくって……。
「ごもっとも」
言いながら、いい匂いのするうなじに顔をうずめた。
fin.