第8章 祝
「いきなり……っ……」
涙目になってる翔くんが落ち着いたのを見計らって、ソファーに座る彼を、ぐっと抱き寄せた。
「………はぁ…もう……おまえは」
翔くんは、あきれたように笑って、ゆっくりと俺に体重をかけてきた。
俺は、背中をそっと撫で、汗ばむうなじに唇を寄せる。
「感謝してるよ…」
もう一度伝える。
「うん……」
「翔くんがいてくれたから、…俺はここにいるんだよ…」
すると、腕の中の翔くんは、ふっと笑って、俺の背中に両腕をまわし、ギュッとしがみついてきた。
「……それ、そっくりそのまま返してやるよ」
「…………」
「これからも……この先も。俺のそばにいろよ?」
「……うん」
翔くんの言葉に、頷き。
静かに唇をあわせた。
……ケーキに負けないくらい、甘い甘いキスを、幾度もかわして、俺たちはもう一度強く抱き合った。
ずっと……ずっと。
一緒に歩いていこう。
愛してる。
fin.