第1章 光
JUN
起きてくるなんて、思ってなかったから。
嬉しい反面、こんなとこ見られて……心配かけてるみたいで申し訳なく思う。
俺は腕のなかにいる翔くんの髪の毛にキスして、力をこめて、もういちど抱き寄せた。
タワーマンションの高層階は、地上からの音はあまりきこえない。
静かな夜空を見上げ、腕のなかのぬくもりを確かめるように頬を彼の頭にすりよせた。
弱いところはみせたくない。
翔くんの前では強くありたい。
そう願っているのに。
「……俺がいるからな」
ぼそりと呟かれる言葉。
胸がじわりと熱くなる。
そんな一言一言が、救われる。
「兄さんも……相葉くんも。ニノも。みんなそばにいるからな」
「うん……分かってる」
「一緒だからな」
「うん……」
力一杯抱き締めると、翔くんもぎゅっと抱き締め返してくれる。
へこんだ気持ちが、まるくなる。
いつだったか翔くんが言ってた。
こういうことだよね。
「潤……」
「なに……?」
「……お疲れさん」
「……翔くんも」
労いあった俺たちは、ふふっと笑う。
深夜の冷たい空気のなか、ぬくもりを分けるように俺たちはずっと抱き合っていた。
明日からまた笑うために。
その日まで走りきるために。
fin.