第7章 夢
Sho
去年から、ずっとずっと、俺のなかで流行りに流行ってる歌がある。
男性ボーカルのアコースティックなその曲を、初めて聴いたときは衝撃をうけた。
…まるで、そう。あなたのことを歌ってるみたいなんだ。
聴き込めば聴き込むほど、もはや、そういう風にしか聞こえなくて。
ネット上でも、一部のあなたのファンの人たちが、その歌に上手に映像をのせて、その切ない気持ちを表現してて……俺は、それを目にするたびに、胸が苦しくなっている。
もしみんなの前から……俺の前からいなくなっても……どうかまた、必ずあらわれてほしいよ。
過去に一度、この話をあなたにしたら、
「……ふふ……」
と、困ったように笑ってたっけ。
仕事帰りの車に揺られながら、俺は、ぼんやり車窓をながめ、それらを思い出していた。
歌詞にリンクするような夕焼けに染まる街並みのせいだろう。
収録が少し早めに終わったから、帰宅時間も大幅に繰り上がった。
こういう日は、このままジムに寄ってもいいんだけど、今日はなぜだか直帰しようと思い至り、こうして、帰宅の途についている。