第5章 愛
だって、俺は知ってる。
あんなに綺麗な活動の畳み方をしてから、こんなすぐに集まって飲もうよ、なんて、潤は多分言わない。
なんなら、俺をすごく甘やかせたい(!)と思ってるやつだから、俺の誕生日なんてイベントは、二人で過ごすことを重視しそうな男だ。
なのに、こんなサプライズを用意してくれるなんて……。
「だって。寂しかったんでしょ?」
「……」
「みんなに会いたいって。顔にでてたよ」
「…………うそ」
「……ふふ。ほんと。ま、俺も五人で会いたかったしね」
「…………そうか」
お見通しだったのか。
年下のくせに……って言葉は、もうこいつには通用しないほど、俺の性格も気持ちも、すべて把握されていることに、小さく笑いがもれた。
確かに、今、俺の心はものすごく安定してる。
五人でいるこの状況が嬉しくて仕方ない。
「……ありがとうな」
呟いたら、潤は、ううん、と言って、俺の肩を抱き寄せた。
「そのかわり。……夜は俺がもらうから」
耳元で低く囁かれて。
「……っ」
どきんとして、顔を赤くしたら、向かいのソファから、ひゅーって囃し立てる声が飛んできた。
「久々にお熱いよー!」
「私たちお邪魔ですか?」
「帰るー?」
メンバーには関係を話してるとはいえ。
恥ずかしいだろ!!
俺はあわてて、潤の手を振り切り、
「酒!おかわり!」
と、さけんだ。
潤が、はいはい、と笑いながら俺のグラスを持って立ち上がった。
三人が顔を見合わせてゲラゲラ笑ってる。
みんなの笑顔が嬉しい。
この空気がやはり何よりも大切だと思った。
いつか……また。
そう、またいつか。
俺は、テーブルに並んだ潤の手料理に手を伸ばした。
End.