第5章 愛
SHO
年末まで全力で走り抜け、無事完走した俺たちは、五人での活動をいったん終え、ソロ活動に入った。
みんなに会おうと思えば会えると頭ではわかってるのに、必ず五人で会えていた仕事がないだけで、こんなにも寂しいなんて、自分でもビックリしている。
みな個々で活動の幅を広げながら、頑張ってる。
俺だって頑張ってる。
兄さんだって、充実した日々を送ってるはずだ。
喜ばしいことのはずなのに、なんだかふとしたとき、どうしようもなく寂しくてたまらなくなる。
個人の活動なんか……休止するずいぶん前からしてきてるはずなのに。
「……櫻井さん?聞いてます?」
運転していたマネージャーが、フロントガラスをみつめながら、心配そうにたずねてきて、我にかえった。
「あ……ごめん、なに」
「もうすぐマンションに着きますよ」
「ああ……ありがと」
礼をいいながら、膝にかけてたブランケットをたたむ。
夕飯どうしようかな……餃子でも焼くか。
そんなことを思いながら、窓の外に目をやる。
……あれ。
ところが、目に飛び込んできたのは、見覚えがありすぎるほどある、恋人……潤のタワーマンションの近所の風景。
息をのんだ。
マネージャーには俺たちの関係は話してない。
だから、潤の家にいくときは、一度帰って自分の車で行くか、ことさらに打ち合わせ感を前面に出したうえで、マネージャーに送ってもらうか、していて。
何の指示もなく、この場にくることは本来ありえないのだ。