第4章 変わった世界
彼女の名は信楽朱里。先々月に18歳になったばかりで、日本で生まれ育った(自称)平凡な女子高生である。ある日体育の授業中に後頭部への衝撃があり気を失い、目を覚ましたら異世界にいた。
その異世界では何故か周りの人間が自分の事を知っていた。最初は訳の分からぬ恐怖に襲われ、自分の存在や既にこの世界で存在していた者との違いに悩み、それでも前を向くと信じた結果は彼女にとって辛く悲しいものだった。
好きになった相手が結ばれるのはいずれ死んで生まれ変わる自分。けれども、自分に優しくしてくれた人達との記憶は消えてしまうかもしれない。折角前を向いて楽しい記憶を持って帰ろうと思っていた矢先にそんな事実が分かり絶望を感じる朱里。
そんな朱里を受け止め、既に愛していた朱里とは違うと思い戸惑っていくロー。どうにかして2人とも笑顔でいて欲しいと願うローと、1人決意を抱く朱里。
物語は、数週間後へと進む。
「おおー!ここがグランドライン!」
「の、入口な!」
「この山超えてからがグランドラインなんだよ!」
「ちょっと入るのが難しいから気をつけてね」
「朱里、危ないから中に入ってろ」
「いや、落ちたら1番危ないのローだからね?ローが中に入っててよ」
「…分かった…」
順調にグランドライン入りを果たせそうな航海だった。鍵付きの日記帳を見たあの日、1度はどうしていけばいいかも分からくなった一同。けれども夜が明けてから朱里は笑顔で言った。
『私、諦めない。絶対に皆との事忘れない。だから、私じゃなくなるその瞬間まで皆と沢山思い出を作る!』
朱里の性格を考えると、朱里なら言いそうな事だった。それでも全員が不安を抱えていた。時折壊れそうな印象を抱く朱里。その言葉が本当なのかどうか確かめようにも、確かめて朱里を傷付けてしまう可能性がある。
ローもどうにかしてやりたいと思いながら、何も解決策は浮かばずに毎日のように朱里と身体を重ねるだけだった。その度に幸せそうに笑う朱里の顔を見ては、後何回今の朱里とこうして過ごせるのかと悩んでいた。
「ここを超えたら、次はどこの島かな」
笑顔で未来を口にする朱里の想いは誰にも打ち明けられない。