第3章 面影のない君
ぼふっと勢い良く凛に抱きつく。
凛は少し後ろによろけただけで、戸惑いながらも私を受け止めてくれた。
「ちょっ、おいっ!」
凛だ。
凛だっ…!
何年ぶりかの再会に涙が滲む。
服の上からでも分かるしっかりと鍛えられた体に抱きつく私を見下ろす凛。
耳についていたイヤホンを外し、耐え切れずに涙をこぼす私をどうしようかと悩む仕草をみせる凛だったが、何かに気づいたのかはっと目を見開いた。
「……由真、…か?」
気づいてくれた。
それだけで十分だった。
「うん…、うんっ…!」
まさかこんな所で会えるなんて思わなかった。
感動の再会に浸る私とは裏腹に、凛は一つため息を吐くと口を開いた。