第2章 マネージャー
ハルくんに目だけでそう訴えて、口には出さず、私は踵を返した。
私の思いがハルくんに伝わったかどうかは分からない。
ただ、そう訴えた後に少しハルくんが残念そうな表情を浮かべたことだけが深く私の意識の中に残った。
歩みを進める私を追いかけてきた真琴くんが、保管しておいてくれたカバンを手渡してくれる。
「無理に見学させちゃってごめんね?」
「ううん、別に…」
無理にではない。
最終的に見学すると決めたのは自分なのだから。
靴下とローファーを履き終えてカバンを持つと、教科書が入った重みが肩に食い込む。
「気をつけて帰ってね」
「うん。ありがと…」
バイバイと手を振る真琴くんに会釈だけを返して、私は帰途についた。