第2章 マネージャー
「来週から私…学校来ないから」
「そんなの無理に決まってるでしょう?」
机に突っ伏したまま、低い声で呟いた私の言葉を同じクラスの友達、杏が否定する。
「…だって絶対出たくないもん」
そう、来週からいよいよ始るのだ。
あの最悪な授業が……。
「たかが水泳でしょ?」
たかが、ではない。
私にとっては重大な事だ。
高校で知り合った彼女は私の過去を知らないので、そう思われても仕方ない。
いちいち説明するのも何だか釈然としない。
「……プール壊れないかな」
「いや、修繕したばっかりだし…」
いやいや、と首を振る杏を横目に私はため息をつく。
こうなるとやっぱり水泳部に恨みの矛先が行くわけで…。
夜中にプールをぶっ壊しに行こうかな、と邪な考えを頭に浮かべた所で昼休み終了のチャイムが校内に響き渡った。