第3章 開/終/
取り敢えず呪術高専には明日行くことにし、夜も遅い為ホテルに1泊することとなった。
先ずは怪我をしている学生二人を病院へ連れていき、五条は気絶した虎杖を安全な場へ運ぶと言って一時別れた。
安全といっても、それは虎杖自身の話ではない。仮に宿儺に体を奪われていた際の周りへの配慮の為だ。
五条はその後上への報告と月瑠と虎杖の了承を願いでなければいけないのだから、なんやかんや大変だろう。
月瑠はというと、先にホテルへチェックインしておいてと頼まれ伏黒と二人置いていかれる身となっていた。
「………」
「……………」
「……………………」
「……………あの」
長い沈黙。最初に声を出したのは月瑠の方だった。
五条は大丈夫だと言ったが、伏黒自身はまだ少し警戒している。特級呪術師である乙骨も、入学当日は怨霊に憑かれてるのがわかった瞬間現二年生に威嚇されまくったとか。
だが、今回はそれとは似て異なる。
当の本人自体が半分呪霊のようなものなのだから、伏黒も扱いに困っているのだろう。
とはいえ、話しかけられて答えない訳にもいかず。
「…なんだ」
「その、…怪我してる」
「!…ああ。まぁ」
「…‥
…ちょっとごめんね」
「!ちょっ、なにす…っ……!?」
月瑠は伏黒の怪我が気になっていた。
頭からは出血し口元にも体にも多数の切り傷。
流石にこんな怪我をしていたら病院でも騒ぎになる為、明日来る術師に専門的な治療をしてもらう予定だったのだが…
伏黒の前へ立ち、背伸びをして
自分より少し背の高い彼の顔に手を添え額を合わせた。
伏黒が静止する間もなく、淡く優しい光が身体を包み、傷が瞬く間に塞がった。それどころか、先程の戦闘で消費した筈の呪力までもが回復していく。