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【呪術廻戦】/無題/

第2章 開/序


僅かにガタガタと揺れる空間。目の前の風景が、一瞬の内に遥か後ろへ行ってしまう。
月瑠と五条は、宮城県行きの新幹線に乗っていた。
長い間『現代』を知らなかった月瑠にとって目に映るすべてが驚きと発見になる。


─────
流石にあの場を人目に晒すわけにはいかず、そのままに離れる事はできないと
五条が封印されていた場に帳を下ろしていた時。
彼のスマホから着信音が響いた。着信相手を確認し、月瑠にちょっとまってとジェスチャーを送り電話に出る。

「もしもーし恵、どしたの?」
『すいません五条先生。先日指令があった特級呪物の回収に来ているんですが、保管場所って何処ですか』 
「あー、あれね。確か百葉箱」
『百葉箱!?』

昔から、人の念が溜まる場には魔除けとして呪物が置かれる事がある。しかし、"魔除け"とは名ばかりで、邪悪なものを置くことによって他の呪いを寄せ付けない『毒をもって毒を制す』悪習だった。
今回、伏黒恵が任されたのはその中でも特級に分類される危険なもの。長い間の封印が緩んで周りに悪影響を及ぼすものになっていた。

そんな危険なものを百葉箱なんかに入れるなんて馬鹿すぎると罵りながら伏黒恵は呪物が入っているはずの百葉箱の扉を開けた

が、しかし
『…ないですよ』
「え?」
『百葉箱、空っぽです』
「マジで?ウケるね」
特級呪物が消えた。
これがどれ程の事なのか、伏黒恵は理解している。にも関わらず自分の師は笑っている。ぶん殴りますよ、と伏黒は眉間にシワを寄せた。

その上、
「それ回収するまで帰ってきたらだめだから」
などと他人事のように言い放って一方的に電話を終了した。
この時、伏黒恵が『本気で殴ろう』と決意を固くしたことは言うまでもない。
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