Forget-me-not fairy story
第1章 First encounter 初めての出逢い
「ところで、ERICくん、君は今から何をするつもりだったのかい?」
LEON王子が、優しくERICに尋ねました。
「僕は、少しお腹が空いたので、お花の蜜でも吸いに出かけるところにLEON王子が天から降って来たんだよ」
「僕が天から降って来たって?」
LEON王子は、ERICの返事がとても面白かった様で、大きな声でお腹を抱えて笑いました。
LEON王子が笑うと、大きな風が吹いてERICの周りの大きな木達を揺さぶりました。
「僕は、漆黒の天の空から落ちたつもりだったけども、君達に言わせると、迷惑にも降って来た王子となる訳か」
LEON王子は、ひとしきり笑うと言いました。
「ERIC、君は、今からお花の蜜を吸いに行くと言った。それは美味しい物なのか?僕達は、食べ物を食べなくても生きてゆける身体を持っている。だから、食べ物を食べた事が殆どない。せっかく、天から落ちて来たんだから、僕も食べ物を食べてみる事にする」
ERICは、びっくりして、LEON王子を見つめました。
(この世の中に食べ物を食べた事がない人がいるなんて!!!)
「ERIC、君は、僕が食べ物が必要でない事に酷く驚いているようだね?天界の神々は、食事なんてしないんだよ。何しろ、僕らは、死なない身体を持っているからね。地上の生き物は、いずれ時が来れば、この地上界を去る、その時、君達は、重い肉体を脱ぎ捨て死なない身体に戻るんだよ」
ERICは、LEON王子の話について正直に言うと、とても信じる事が出来ない話でした。
ERICは、死なない身体になって、美味しいお花の蜜が吸えなくなる事の方がずっと悲しい事の様に感じました。
「僕は、死なない身体よりも、美味しいお花の蜜が吸える身体の方がいいな」
ERICが言いました。
「あはは、小さなハチドリのERICくん、地上にいる間にいっぱい美味しいお花の蜜を吸うといいよ」
「そうだね。僕達、ハチドリは、美味しいお花の蜜が吸える為に、南に渡鳥となって移動するくらいだから、お花の蜜を吸わないで生きていけたら、きっと退屈で死んでしまうよ」
「そうだね、地上界の生き物全ては、生きてゆく為に食べ物を求めて行動をする。君が言う事はもっともだ。でもね、天界の花畑は地上と比べられない程、綺麗で匂いも香しいんだよ」
LEON王子は、真面目な顔で言いました。