第4章 自覚
夢主side
リゾットさんの胸元にそっと触れる。
心臓がドキドキして鳴り止まない。
息をひとつ吐いて、目を閉じてスタンド能力を発動させた。
『あの…心拍数が速いだけで特に以上は…』
ふと、リゾットさんを見上げた時だった。
『…っ』
あまりの顔の距離の近さに思わず息を飲む。
リゾットさんは何も言わず私を見つめた。
『あの…ごめんなさ…』
リゾットさんが私の髪をそっと撫でる。
その手がとても優しくて、心地よかった。
この行動がどう言う意味を持つのか、分からない。
「綺麗な黒髪だな…」
『!…あ、ありがとう…ございます』
やっとの思いで言葉を発する。
何…この雰囲気。
私は身体を硬直させ、ドキドキがおさまる事を願うことで精一杯だった。
そのままリゾットさんの大きな手が私の頬にそっと触れる。
「触られるのは…嫌か?」
低い声でそう聞かれる。
首を大きく横に振る。
どうしよう…
「プロシュートに触れられてた時は、笑っていたのに…何故今はそんな固い表情なんだ。」
『え……?』
それって…
『きゃ…!?』
考える間もなく、突然リゾットさんに身体をグイッと引き寄せられ
きつく抱き締められた。
『え…り、リゾットさん……?』
鍛えられた筋肉、リゾットさんの吐息を感じる。
私の身体はリゾットさんの腕の中に簡単に包み込まれて
ただ、お互いの鼓動だけが聞こえてくるようだった
何これ…私の気持ち、知っててしてるの…?
リゾットさんも…私の事好きなの…?
淡い期待で胸がいっぱいになる。
こんな事されたら気持ちが抑えられなくなくなっちゃうよ。
『リゾットさん…好き』
自分でも無意識にそう呟いてしまって、ハッとしてリゾットさんを見上げた。
リゾットさんは驚いた顔で私を見た。
正直、キスの一つでもされるのかと期待していた。
だけど……
「…すまない、突然こんな事をして。」
リゾットさんの身体が私から離れる。
視線を落としてこちらを見てくれない。
さっきと打って変わって、リゾットさんは一気に私と距離を置くような素振りを見せた。
「…そろそろ、みんなのところへ戻るか。食事の邪魔をしてしまって悪かった。」
なんで
…どうして?
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