第5章 安らげる場所_5章
「…俺の命の恩人だ。」
ローもポツリと話し始めた。
子供の頃に珀鉛病だったこと。
家族や友人、国の人をすべて失ったこと。
そして、その恩人は初めて自分の病に
真剣に向き合ってくれたこと。
恩人は自分を救って死んでしまったこと。
マリアはその話を聞いて、自然に涙が溢れてきた。
ローの国のこと、亡くなった恩人の話、
どれも辛く悲しい。
そして自分の能力についてローが
しつこく聞いてきたことに合点がいった。
「そうか…コラさんの能力が、
また他人の役に立ったんだな…」
そうだ。ローにとっては決して幸ではないが、
コラさんが亡くなったことで、
一つの家族の命がが助かった。
そして、その能力者に出会うなんてどれだけの
奇跡なんだろう。
マリアは相変わらず泣いていたが、
ローの肩が少し震えていることに気付いた。
マリアは泣きながらローの背中に少し触れ
「カーム」の能力を使った。
これでローから発生する音全てが無効になる。
「(ロー…今日は泣いても、
誰にも聞こえないよ。大丈夫だよ…。)」
マリアは泣き疲れて眠ってしまった。