第9章 最後
*
電車が来て、空いている席に座る。電車は空いていた。
「…」
「遊園地着いたら、何乗りたい?」
「…観覧車…?」
「可愛い…いいね、観覧車、乗ろう?」
「黒河さんは何乗りたいですか?」
「圧倒的ジェットコースター。」
「…」
「…もしかして絶叫苦手?」
私はコクコクを頷いた。
「…じゃあ、克服しよう。」
「や…やだ…。」
「フフッ…可愛い…あと何か苦手なものとかある?絶叫以外に。」
「…お…お化け屋敷?」
「じゃあちょうどやってるからそれも入ろう。」
「!…やだ…。」
「いいじゃん。俺の後ろくっついてていいから。」
「やです…!」
「じゃあ別々で行く?」
「…一緒に行きます…。」
「フフッ…決まり。」
*
「…本当に乗るんですか?」
「本当に乗るんです。」
遊園地に着き、連れて行かれたのはジェットコースター。
「…や…やっぱりやめませんか?」
「やめません、行きましょう。」
「なんでそんなに楽しそうなんですかー!!」
「それでは、行ってらっしゃいませ~!」
「うっ…。」
スタッフさんが安全バーを締めてくれた。もう逃げられない…。
「…」
「フフッ…恐怖で喋らないじゃん。」
「だって…怖いんですもん。」
「手繋いでるよ?」
「繋いでても怖いんです…。」
「じゃあ離す?」
私は首を横に振った。
「フフッ…可愛い。そろそろくるんじゃない?」
「え…。」
声をあげた瞬間……
「あああぁぁぁっ…!!」
「ははははっ!!」
いきなり加速して落ちていく乗り物。