第9章 最後
「あっ…来た…!」
「お…お待たせしちゃってすみません…。」
「ううん、まだ約束の時間より10分くらい早いから。俺も今来たとこ。」
「そ…そう…なんですか…。」(絶対嘘…。)
「ん、じゃあ行こっか!」
「!…」
相変わらず…私服がおしゃれでカッコいい…。
いつも通り、手を繋いで歩き始める。笑っているのに、どこか…寂しそうな表情をしている黒河さん。
「今日は…どこへ行くんですか?」
「電車乗って、遊園地行こうかなって。」
「!…行きたいです!」
「ほんとに?良かった。俺もずっと行ってみたくてさ。」
歩いて駅に向かう。
「えーっと…2人で1180円。」
「てことは590円」
「あ、いらない。」
「…」
毎回、お金は受け取ってくれない。デートの代金は全部黒河さんが払ってくれる。
「で…でも…結構高いですもん…。」
「俺から誘ったから、払わせて?」
「…あ…ありがとうございます。」
「フフッ…どういたしまして。」
もう…貰ってくれないのはわかっているので…お財布をしまいます…。
「電車来るのが…10時20分。あと5分くらいかな。」
デートに行くときに困ったことはない。黒河さんが調べてくれて、トラブルが起きても別の解決策を考えてくれるから。何もしない私は…かなり甘えてる方だと思う…。