第8章 あと少し
「…」
明日で…お付き合いは最後…。
*
「うん。そうだなぁ…1週間、俺と付き合ってみない?その1週間の間に嫌なことがあったら、すぐ俺に言って?佐野ちゃんからすぐ離れるから。でも、1週間経って、まだ俺と一緒に居たいって思ってくれたら、そのまま付き合ってみよう?」
*
実際、今日まで嫌だと思ったことは…1度もない。むしろ、楽しかった。凄く楽しかった。
「……別れたく…ないな…。」
ベッドに横になったまま、口からこぼれた言葉。
黒河さんのことを…まだ完全に信用できたわけじゃない。でも…この1週間で、「恋愛をするのも悪くない」と思えたのは絶対に黒河さんのおかげだった。
「…」
逃げてばかりじゃ…ダメ。しっかり…想いを伝えないといけない。
*
次の日……お付き合い最終日。
「!…もう…待ってる…!」
9時50分。自分の部屋から下を見ると、黒河さんがもう待っていた。
「…」(服装…変じゃない…かな……髪の毛…大丈夫…だよね…。)
そわそわしてしまう。
「じゃ、じゃあ、行ってきます。」
「いってらっしゃい~…何?デート?デートなの!?」
「う、うるさい…行ってきます。」
「お赤飯炊いて待ってるわね!♡」
「い…いらない!」
私は玄関のドアを開けた。