第8章 あと少し
「…」
「…ねえ…。」
「はい。」
「明日の日曜日……最終日の日さ…1日…俺に時間頂戴?」
「!…」
「…ピアス…見に行ってそのまま帰そうと思ったけど…やっぱ…1日頂戴?」
明日の0時で…1週間の「お試し」のお付き合いが終わる。
「…わ…かりました…。」
「ありがとう。」
「…」(なんで……。)
凄く寂しそうな横顔。
明日が…お試しで…最後のデート。
*
「到着。」
「あ…ありがとうございました。」
「ん、明日は…とりあえず10時家に迎え行くね。」
「わかりました…!」
「…」
「…?」
「…抱きしめてもいい?」
「!…は…はい…。」
「…」
黒河さんはそっと私のことを抱きしめた。
「…俺のこと…少しでも好きになってくれた…?」
「!…」
「恋愛が…少しでも…良いものだなって…思ってくれた…?」
「わ…私は」
「今じゃなくて…答えは明日聞きたい。」
「…わかりました…。」
「……ごめん。」
抱きしめている腕に力が入る。
「…明日、楽しみにしてる。」
「…はい。」
「じゃあ、おやすみ。」
私を離して、唇に軽く触れるだけのキスをすると、私に微笑んで歩き始めた。