第2章 目が合うその先の欲望と *
ドキンと胸が高鳴り顔を上げると優しい顔付きで私を見つめていた。
「っ…あ、私は…」
「無理に今答えなくていい。俺はいつまでも待ってる。」
その言葉に私はガバッと起き上がり言う。
「いや!そうじゃなくてっ…そのっ…兵長のこと嫌いじゃないですし…嫌だったらあの時突き飛ばしてます…」
少なからず兵長の事は嫌いじゃないし触れられるのも嫌じゃなかった。
だけど兵長みたいに本気で私のこと好きみたいな感情はまだ無くて…
だからといって距離を置かれたり触れ合えられなくなるのは嫌で…
「っ…私っ…兵長のこと嫌いじゃないっ…でもまだ自分の気持ちが分からなくてっ…だけど兵長の側に居たい…っ…ワガママ…ですよね、こんなの…」
自傷気味に言うと兵長はゆっくり上体を起こし手を握ってきた。
「我儘なんかじゃねぇよ。寧ろお前が俺の側に居たいって思ってくれている事が嬉しい。」
「〜!兵長…」
「焦らなくていい。それに嫌いじゃねぇならゆっくり分からせていってやる。」
兵長が手を握りながら近づいてきて空いている手で髪を撫でられる。
「っ…!」
「…」
名前が呼ばれ兵長をみるとあの熱っぽい視線。
でも何処か優しい視線に私は目が離せなくなる。
「好きだ…お前しか要らねぇ。」
「…!嬉しいですけど…心臓持ちません…」
「ハッ、これから慣れていかねぇと身が持たねぇぞ。」
そう言ってギュッと抱き締めてくる兵長。
温かくて力強い腕の中…。これからどうなっていくのかは分からないけど…この人の側に居られて触れ合えると思ったら嬉しくて仕方ない。
兵長の背中にそっと腕を回し抱き締め返しながら私は再び目を閉じた。
そして、、、
_____ 好きって気持ちに気付いたのはもう少し後の話。
END