第1章 追憶
*
ブォー――――――――………
汽車の笛が鳴る。
もうすぐに私が乗り込もうとしている汽車が発車するのだろう。
「無限列車」
私は今、夜行列車であるこの汽車に乗り、あのお方……お館様の元へ向かおうとしている。
否、これは私の意志ではなく
鎹鴉を通して、お館様からそう言伝があったのだ。
…お優しいあのお方のことだ。
恐らくは日光に弱い体をもつ私のことを思ってのことなのだろう。
私はほわほわとする、あたたかな気持ちになり
お館様を思いながら汽車に乗り込んだ。
私が乗り込んだのは3両目の車両であった。
しかし残念ながら、ひとりでゆったり座れるほどの余裕のある席は空いていなかった。
仕方なく4両目へ向かうことにする。
貫通扉を開けた瞬間目に飛び込んできたのは、何やら賑やかな4人組の青年たち……いや、
正確には、一人は青年だが、他の三人はまだあどけなさの残る少年…と言えようか。
(楽しそうね…)
純粋にそう思った。
しかし……私は彼らを見てすぐに「鬼殺隊」の一員であるとわかった。
特にこの、炎の柄の羽織を着ている人…柱ではないの…?
(あぁ…懐かしいわ……この感じ…)
彼らの横を過ぎる際、思わず青年と目が合ってしまった…