第12章 寡黙な人
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「それじゃあふたりとも、今日は遊んでくれてありがとう!とっても楽しかったわぁ」
「わたしもです!久々に息抜きができて、素敵な1日でした」
「うんうん!ちゃん、しのぶちゃん、またすぐ会いましょうね!」
「それじゃあ、わたしはここで」
"またね"と言って、鴉の後をついていく。
振り向くと、ふたりはわたしを見送っていてくれていた。
もう一度手を振りあって、前を向く。
ふたりに選んでもらったワンピースと帽子が入った紙袋。
ちらと見て、心が温かく満たされるのを感じた。
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「しのぶちゃん…わたし、わたしね…」
が角を曲がって見えなくなってから、蜜璃がおずおずと切り出す。
「甘露寺さん、多分わたしも、甘露寺さんと同じ気持ちですよ」
「えっ!ほんとう?やっぱりしのぶちゃんね!」
しのぶに柔らかな顔でそう言われた蜜璃の顔は、ぱぁあと明るくなる。
「ちゃんが煉獄さんのお話をしている時、わたしたちと一切目を合わせてくれなかったじゃない?それにちょっとお顔も赤かったわ!あれは絶対意識している乙女の顔よっ!もうわたし言ってしまいたかったわ~!」
「うふふ、煉獄さんのさんの側にいる時のお顔ですか?もう甘露寺さんこの間からそのお話ばっかりなんですから。…さんも、煉獄さんも、そのあたりちょっとうとそうですからね…」
鼻息の荒い蜜璃と、どうしたものかと頭をひねるしのぶだった。