• テキストサイズ

月の雫

第1章 ようこそ、主さま


1日を終え、私は執務室の縁側で星を見ながら呑んでいた。

あの後乱たちに本丸を案内してもらい、全ての刀剣男士と挨拶を交わす事ができた。
みんな、心から受け入れてくれている。
誰一人敵意や探るような目で見なかった。

(今日のお酒は美味しいな)

?「何か入れながら呑まないと、体を壊しますよ。」

『…小狐丸さま。』

小狐丸「どうぞ、呼び捨てて下さいませ。
ご一緒しても?」

『もちろん。』

小狐丸はつまみに油揚げを炙った上にネギと鰹節をかけたものを持ってきてくれた。
それを間に置いて、座る。

『どうぞ。』

小狐丸「ありがとうございます、ぬしさま。」

小狐丸の盃に酒を満たすと、流れるような所作で飲み干した。

小狐丸「おいしいですね。」

『お口に合って良かった。私の好きなお酒なんです。』

小狐丸「そうですか。甘口がお好みなのですね。ならば、このツマミは合いますよ。」

『いただきます。
…うん、合いますね。」

小狐丸「でしょう?」

それから小狐丸と、盃が空けば互いに注ぎ合ってゆるゆると呑んだ。
思いついた事をポツリポツリと話しながら、穏やかな時間が過ぎてゆく。
ずっと、こんな風に過ごせたらいいのに。
明日になれば戦もしなければならない。

『傷ついて欲しくないのにな…』

小狐丸「ぬしさま…」

『…護るから。あなた達が歴史を護るなら、私はあなた達を護る。』

小狐丸「…はい。私達もぬしさまをお守り致します。」

『ありがとう、小狐丸。』

見ていて下さい、翁。
あなたが大切に育てた刀剣は、必ず護ります。


/ 274ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp