第36章 契りー三日月宗近ー ※
ー三日月宗近ー
月胡が…
俺を選んでくれた。
言葉を失うほどの歓喜。
それと同時に湧き上がる、独占欲。
もう、堪えなくてもいいのだな。
「もちろんだ。」
『本当に…私でいいの?』
この期に及んで…それを俺に聞くか?
「信じてもらえぬのは、悲しいなぁ。」
『ち、違うの。
嬉しすぎて、実感がないというか…。』
なるほど、な。
ならば、ちょっと意地悪をしてやるか。
「覚悟が足りぬのか?」
『そうじゃないっ!』
「ならば、月胡の覚悟。見せてもらおうか。」
『覚悟…。』
さて、どう来るかな?
月胡はしばし考えた後、すっと立ち上がると装束に手をかけて自ら脱ぎ始めた。
一枚、一枚。
月胡の肌が露わになる。
胸に巻いていたサラシをとり、下着も脱ぎ…
生まれたままの姿になった。
『これが、私の覚悟です。
…受け取ってもらえますか?』
何もかも、俺に曝け出すと言うことか。
これ以上ない、覚悟の示し方だ。
「…十分だ。月胡の覚悟、しかと受け取った。」
ならば、俺も全身全霊で応えなければな。
俺も立ち上がり、着物を脱ぎ、全てを晒した。
「おいで、月胡。」
『…はい。』
目を逸らさず、真っ直ぐに俺の元へ来る。
本当は自ら行って、直ぐにでも全てを奪い去りたい。
だが、生涯一度きりの交神。
しっかりと味わいたい。
まぁ、交神しても月胡と交わらぬ訳ではないが。
人としての月胡を、忘れぬように。
「…俺を選んでくれて、ありがとう。」
『私を好きになってくれて、ありがとう。
やっと、宗近のものになれる…。』
「やっと?」
『ずっと、我慢してた…
本当は、もっと早く宗近のものになりたかった…んんっ!』
今のは月胡が悪い。
どれほど俺が…月胡を欲し、我慢していたと思う?
「思い知らせてやる…どれほど、この時を待ち望んでいたか。
一度や二度で済むと思うなよ?」
『…ん。
教えて…どれほど宗近が私を望んだか……。』
「…あまり、煽るな。」
余裕がなくなる。
『宗近…まって……。』
三日月「なんだ?」
限界が近いのだが…
『佐具羅 蒼月。』
三日月「月胡?」
『私の真名も…受け取って。』
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