第35章 かけがえのない日々の中で
ー翌日ー
翡翠は少し寝て、朝のうちに帰って行った。
月胡は横にはなったが、一睡もしなかった。
皆の寝顔を見つめ、幸せを噛み締めていた。
そしてチェックアウトの時間までゆっくりさせてもらい、本丸へと帰る。
『お世話になりました。』
女将「…良いお顔をしておられますね。」
『そうですか?』
おそらく、女性である女将には月胡の決意が伝わったのだろう。
柔らかな微笑みで、見送ってくれた。
女将「また、お越しくださいませ。」
『はい。』
月胡は本丸へと戻ると身の回りを整え、滝へと向かい禊をした。
その後正装に着替え、本殿で祈りを捧げる。
一時間ほど静かに祈りを捧げた後…
『よしっ。』
顔を上げ、まっすぐ前を見て。
心に決めた相手の元へと、歩き出した。
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