第22章 優先
今回の討伐対象に着いた。
穢れは酷くないが、刀剣達の気持ちを表すかのように沈んだ空気だ。
本丸内に霊力を巡らせ、様子を探る。
…刀剣達はバラバラだな。
怪我は中傷…
審神者は執務室、だな。
『ここの結界は乗っ取った。
まず、刀剣達を集めよう。』
全員「はっ!」
本丸に入ると、まずは五虎退さんがいた。
[五虎退]「だ、誰ですか?」
『審神者の月胡です。
こちらの[乱]さんに依頼されて来ました。
皆様の所へ案内していただけますか?」
[五虎退]「本当に…来てくださったのですね?」
『はい。
あ、まずは手当てをさせて下さい。』
もう、完治させていいよね。
…出かける前に[乱]さんもきちんと手当て、してくれば良かった。
まだまだ、冷静さが欠けてるな。
[五虎退]「あっ、あの…ここには、資材が…ないのです。」
『大丈夫ですよ。失礼しますね。』
[五虎退]さんの手を取り、手入れをする。
[五虎退]「すごい…治った……。」
『痛むところはないですか?』
[五虎退]「もう、大丈夫です。
ありがとう…ございます。
みんなは、こっちです。」
[五虎退]さんに案内してもらい、残りの刀剣も会ったら治療して広間で待っていてもらった。
[五虎退]「薬研で最後です。
薬研、月胡さまが来てくれたよ。」
[薬研]「都市伝説じゃ、なかったのか。」
都市伝説って…
私、そういう扱いになってるの?
『遅くなりました。
手入れをしたら、広間へ行きましょう。』
[薬研]「すまない…。」
『…謝るのは私の方です。』
[薬研]「えっ…?」
『…さ、手入れは済みました。行きましょうか。』
[薬研]「あっ、あぁ。」
…謝らないで。
どうして、刀剣は傷つけられてもこんなに優しいの?
どうして、そんな彼らにこんな酷い事ができるの?
全員がそろった広間に結界を張り、明石達来派を見張として残して審神者がいる執務室へと向かう。
伽羅「…俺が。」
伽羅が先頭に立ち、ドアを蹴破った。
ドカッ!!
審神者「なっ、何だ!?」
伽羅「動くな。」
伽羅が鋒を審神者に向ける。
審神者「大倶利伽羅!?
それに…お前は……月胡?」
伽羅「お前が主の名を呼ぶな。」
髭切「今日は出番、ないかな?」
いや、止めなさいよ。
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