第1章 夢を見る。
「まって‼」
明るくなった目の前。
少女は天井へ向かって片手を伸ばしていた。
見渡せば、毎日生活している自分の部屋だと容易に気付き、伸ばしていた手を力なくおろした。
…ゆ、めだったの?
疲れの全く取れない体をベットから起こす。
と、伸ばしていなかった方の手に違和感を感じ、そっと開く。
「…うそ」
手のひらには、夢の中で握っていた三日月のペンダントがあった。
窓から差し込む朝日を受け、綺麗に光るペンダントを見つめ、夢か現実か頭を悩ませる。
こんこん
「咲月ちゃん?下に朝ごはんできてるけど…具合でも悪いの?」
部屋の扉をノックされ、ふと我に返った。
「ぁ、おはようございます。今下に降りますね」
少女は慌てて身支度を整えにかかった。