第1章 夢を見る。
暗い。
真っ暗闇に一人、少女が立たされている。
…ここはどこ?
小さいころから暗闇は苦手だ。
だって不安になるから。
自分は一人だって…孤独だって思い知らされる気がするの。
怖い。
一人はとっても怖いよ。
少女はギュッと手を握る。
と、自分の手に何かが握られているのに気付いた。
開いてみると、暗闇でもかすかに見えるペンダント。
それは三日月の形をしていた。
『かぐやさま、闇が怖いのですか?』
闇の中ぼうっと光り、着物に身を包んだ女の人が現れた。
「…え?あの、あたし『かぐや』って名前じゃないですけど」
少女の言葉に着物の女性は寂しそうに目じりを垂らした。
『まだ分からないのですね。
でも、これだけは覚えていてください。闇が怖いのならば、月を見上げてください。貴女さまは一人ではないのですから』
「つ、き?」
『はい、月を。そこが貴女さまのあるべき場所ですもの。
…そろそろ時間ぎれのようですね、またお会いしましょう、かぐやさま』
そう言って、ぼうっと消えていく着物の女性。
「まっ…」