第58章 絶対君主には成れずとも$ 下巻1
「何ですか?」
「何故、今…」
「何を言いたいんですか?あぁ、聖剣様には戦闘時意外にも気を使わなきゃいけないんですか?」
「擬煌珠!」
「天然石だからってお高くとまらないでよね?」
「な……」
この子、本当に昨日泣いてた子なんだろうか。
戦わなくて良いと言われて喜んで居たように見えたのに……
「擬煌珠、あまり勝手をするようなら…」
「義勇様。大丈夫ですから。ひとまずは叔父様の元へ参りましょう?」
眉をひそめながらも、朔がそういうならばとカンバダの誘導をしながら、冨岡も足を進める。
三人の空気が悪くなったのもあり、口数少なく砦を登り始める。
「そろそろだ」
冨岡が言うや否や、砦の頂上に辿り着いた。
コンコン。
砦の上の見張り小屋の戸を叩く。
「何用か」
中から男性の声がした。