第8章 上弦の陸
スパン。
部屋の襖が開く。
そこには…
「あ"?何の用だァ、冨岡」
「冨岡、さ…」
「どうした?」
「あ、いえ…」
明らかに動揺している。
原因は…不死川、か?
「用が無ェなら、さっさと退けよ。俺は客だ」
「悪いが、俺も客だ…」
目の前で火花が見える気がする。
「で?お前はどうするよ?俺か冨岡か」
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切見世。
際下級の女郎屋。
客がつかなくなったり、病気になった遊女が送られる場所。
宇髄の妻である雛鶴はそこに居た。
「天元様。私には構わずもう行ってくださいませ。先程の音が聞こえましたでしょう。鬼が暴れています」