第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
「価値?」
「彼女たちは商品だ。とてつもなく高価な、な?」
「無粋な…」
冨岡の中に怒りがこみ上げる。
朔が商品?
確かに朔との出会いは武器屋だったが、彼女は特殊な布で封印されていた。
だが、彼女に会って腐っていた俺の心は和らいだ。
剣が本体であるとはいえ、彼女は人と同じ心があり、喜びもすれば悲しみもする。
彼女はただのモノではない。
彼女は俺たち人と同じ……
「義勇様、来ます!」
「「満ち染まん 潮の流れに 揺蕩うは…」」
今はまだ、ちぐはぐだ。
俺は朔の事を知らない。
彼女は打ち明けようとしていたのかもしれないのに……