第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
「同契しましたか。おもしろい、その実力見せてもらいましょう!擬煌珠(フィロ)!そちらは水、ならば私は雷(いかずち)で相手をさせて頂く」
「いけるか、朔?」
「問題ありません、私は常勝のエディルレイド。分析適応能力で私の一属の右に出るものは居ません」
「ほう、なかなかの自信ですね。その牙城(がじょう)、崩して差し上げましょう!」
「吾(あ)が為に 迷子(まよいご)覆(おお)う 黒霧に……」
ノアズアークの隊長が雷を降らせる暗雲を呼び込む。
「白波に 穿(うが)つ矛には 海神(わだつみ)の……」
対する朔は暗雲から嵐を呼び込む。
雷と嵐が激突する。
二つの力は相殺しあい、乾いた大地に恵みの雨を降らせるに留まった。
「雷を散らすか、さすがは天然石といったところか……」
クツクツと笑う隊長に冨岡は問う。
「何故、追いかけてくるんだ?」
「その剣、核石と能力にどれほど価値があるか知っているか?」